参院予算員会で25日、内外の諸情勢に関する集中審議が開かれ、質問に立った福山哲郎議員は、(1)北朝鮮および外交・安全保障問題(2)森友・加計学園問題――等を取り上げ、安倍総理らの見解をただしました。
今月11日、米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)の第18航空団に所属するF15戦闘機が海上に墜落した事故で、福山議員は米軍がわずか2日後に飛行を再開、18航空団は、自民党も含めた嘉手納町議会の抗議決議要請のための面会を拒否したことを問題視。同県では2016年12月のオスプレイ墜落以後、米軍機の事故やトラブルが頻発しており、「異常事態だ。米軍機が事故を起こしても原因究明や再発防止策が不十分なまま、なし崩し的に飛行を再開している状況が常態化している」と指摘し、安倍総理に対しこの面会拒否をどうとらえるかと尋ねました。
これに対し安倍総理は、「米側に対し安全管理、再発防止の徹底を強く申し入れた」「米側の個別の対応については政府としてコメントは差し控えたい」などと述べるにとどまったため、福山議員は、「どのように改善を図るつもりなのか。主権国家としての矜持(きょうじ)だ。国民が危険にさらされている。再発防止策も原因も分からないまま飛行が再開されている。面会をするよう要請してもらえないか」と迫りましたが、安倍総理は一貫して答弁を避けました。
北朝鮮問題では、「朝鮮半島の非核化」をめぐり米朝首脳会談後に合意した共同声明には完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)の明示がなかった一方、河野外務大臣が、「アメリカのポンペイオ国務長官は、『大量破壊兵器やミサイルだけでなく、ウランの濃縮施設や再処理施設など47にわたる項目を担保することを“非核化”という言葉で表しているというのが米国側の理解』との旨発言していることに言及。安倍総理が日米首脳会談に前向きな姿勢を示すようになったのは、トランプ米大統領との会談のなかで、47項目のCVIDへの手応えを得たことによるものなのかと確認しました。
これに対して、安倍総理は、「私とトランプ大統領とのやり取りでは、朝鮮半島の非核化については、米側としてはCVIDだと理解しているということだ」と答弁。福山議員は、「拉致問題に関してもトランプ大統領を通じて、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長から何らかの形でオープンな議論に応じるシグナルがあったからこそ、日米首脳会談という話があるのだろうと期待したい」と釘を刺しました。