立憲民主党など野党5党1会派は合同で20日午前、北海道の地震による大規模停電(ブラックアウト)に関するヒアリングを国会内で開催。今月6日の平成30年北海道胆振東部地震発生後、離島を除く道内全域で電力供給が途絶え大規模停電が起きた問題について経済産業省から、(1)北海道電力管内における電力需給の状況(2)大規模停電に関する検証委員会の設置と委員の選定(3)地震直後の北海道内の周波数(通常50ヘルツ)と周波数を一定に保つための発電量を調整する北本七飯線潮流(中央給電指令所システム)の変化――等について説明を聴取しました(下記PDF参照)。

 政務調査会長代理の逢坂誠二衆院議員(北海道8区)は冒頭、今回の地震で亡くなられた方々に哀悼の意を表すとともに、被災された皆さんに対しお見舞いの言葉を述べました。その上で、今回は地震による直接被害が甚大であったことに加え、停電による影響が相当大きいと指摘。「苫東厚真周辺の地震動の大きさは誰もが分かっていることだが、なぜ北海道全体、根室や稚内や函館といった端々まで影響が及んだのか。今回の大規模の停電の実態、それに対しどのような対処をしたのか。今後このようなことを発生させないためにはどのような取り組みが必要かなどについて話を聞かせていただきたい」と述べました。

 ヒアリングで資源エネルギー庁は、北電管内における電力需給の状況ついて「土砂崩れなどにより立ち入り困難な地域(19日18時時点で46戸)を除き停電は解消」「苫東厚真1号機の復旧に伴い、19日以降は『需要減1割確保のための節電』は必要なくなった」「需要と供給のバランス(イメージ)によれば、冬の需給については運転再開によって供給力は確保されている。冬の需給は何とかなると見込んでいる」などと説明。電力広域的運営推進機関(OCCTO)では今回の大規模停電の原因等について電力技術の専門家で構成した検証委員会を立ち上げ、原因究明等の検証とそれを踏まえた再発防止策(停電規模抑制策含む)の検討を行っていくと報告しました。検証委員会は21日に第1回目の会議を開催、10月中を目途に中間報告を取りまとめ、OCCTOで技術的な検証をした上で国としてどのような対策を講じていくか議論を進めていくとの方針が示されました。

 質疑応答では、冬の電力需要の見込みが甘いのではないかとの懸念や、停電後政府や北電からの情報提供や発信が不十分であったとの指摘、ブラックアウト発生から復旧までの周波数データ等の資料要求など、多くの質問や意見が上がりました。なかでも議員らが特に問題視したのが一極集中の問題で、2011年の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の教訓として同年12月にまとめられた「電力システム改革に関するタスクフォース論点整理」には「東日本大震災と東電福島第一原子力発電所における過酷事故の発生とその影響による全国的な原子力の稼働停止は、大規模電源の遠隔地集中立地によるリスクを顕在化させ、次世代型の分散型エネルギーシステムへの関心の高まりをもたらしており、こうしたニーズに適確に対応した制度設計とすることも重要な課題だある」とあるにもかかわらず、これが生かされていなかったのではないかと指摘。「大規模電源の集中リスクと遠隔地電源への依存リスクの解消と分散型電源へのシフトに向けて7年間何をやってきたのか」「北海道電力はどういう対応してきたのか」などとただし、この7年間の分散化に向けた取り組みについて具体的に示すよう求めました。

地震直後の北海道内の周波数の変化と北本七飯線潮流