立憲、国民、共産、社保(社会保障を立て直す国民会議)、社民の野党4党1会派は17日、「下関北九州道路に関する予備的調査」要請書を大島理森衆院議長宛てに提出しました。

 下関北九州道路(山口県下関市―福岡県北九州市)は、国が平成10(1998)年の第5次全国総合開発計画に掲げた6カ所の「海峡横断プロジェクト」の1つで、自民党政権時の平成20(2008)年、財政難を理由に6カ所とも凍結しましたが、今年度、下北道路だけ11年ぶりに直轄調査を復活させ、4千万円の予算を付けました。この決定について、自民党の塚田一郎・国土交通副大臣が「総理とか副総理が言えないので私が忖度(そんたく)した」と発言し問題となり、塚田副大臣はその後発言を撤回したものの、この判断に至った正当性が示されないまま辞任に至りました。

 要請書は、こうした経緯を踏まえ、衆議院規則第56条の3の規定に基づき、下関北九州道路に関する予備的調査の実施を求めるもの。具体的内容としては、(1)平成20(2008)年に政府が海峡横断プロジェクトについて調査を含めて凍結したことの意思形成過程が明らかとなる記録等関係資料(2) 平成27(2015)年8月の緒方林太郎議員の質問主意書に対する答弁(個別プロジェクトに関する調査は行わない)、また平成28(2016)年夏頃の石井国土交通大臣の問題提起(他の5つの海峡横断プロジェクトと違いがあるのではないか)から衆院国土交通委員会(平成28(2016)年11月16日)における吉田宣弘議員への答弁(ゼロベースで必要性を再整理)に至るまでの方針転換に係る意思形成過程が明らかとなる資料(3)平成28年3月31日の関門会による石井国土交通大臣への要望における面談記録等及び事前説明資料・大臣の発言メモ等(個人メモ・個人フォルダ等を含めて探索が必要)――等6項目です。

 提出後、記者団の取材に対し提出者代表の川内博史衆院議員は、「いったん調査が凍結された事業について、なぜ調査補助が付き復活したのか、なぜ直轄調査に格上げされたのかについて、国土交通省の内部における意思形成過程がまったく不透明である。現状国民に対して明らかにされている文書は、塚田前国交副大臣が昨年12月20日に副大臣室で自民党の吉田参院議員会長らと懇談し、その際に『ちゃんとやるからね』と発言をしたとされる文書だけが国交省内の面談記録としてある以外、一切文書が公表されていない。霞が関全体としてなかなか国会、野党議員の資料要求に応じないという状況にあるが、法的権限に基づき国政調査権として国土交通省に対し資料開示を要請するもの」だと趣旨を説明。「時間はかかるかもしれないが霞が関にはしっかり対応していただきたい。衆院事務総長も『しっかり調査をさせていただきます』と発言されていた。資料開示に期待したい」と述べました。

 加えて、川内議員は、「下北道路はあれば便利ではあるが、優先順位をどう考えるかという問題だ。現在関門橋、関門トンネルで8車線あり、この20年間道路交通量はほぼ一定であり増えていない。さらに、災害や自然現象等で同時に通行止めなった5回のうち最長時間が17分間で、しかも夜中であった。九州のなかには地域高規格道路を予定している自治体はたくさんあるなか、(この地域に)もう一本の橋を懸けることがその他の道路よりも優先度が高いとする説明をしっかりしていただかないと他の自治体の皆さんも納得できないのではないか」と指摘しました。

下関北九州道路に関する予備的調査要請書.pdf