枝野幸男代表は9日、長崎市の平和公園で開かれた「被爆75周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」に党代表として参列し、献花を行うとともに、原爆死没者への慰霊と核兵器廃絶に向け全力を尽くし世界の恒久平和への誓いを新たにするため黙とうを捧げました。
被爆から75年の節目となる今年の式典には、遺族や被爆者、駐日大使ら約500人が参列。新型コロナウイルス感染防止のため、参列者は例年の約1割ほどとなりました。
原爆投下時刻の午前11時2分の黙とうに続き、田上富久長崎市長は「平和宣言」を読み上げました。
宣言の冒頭、原爆で妻子3人を奪われた被爆者で、作曲家でもある故・木野普見雄さんの手記を引用し、地獄の体験を伝えてきたとした上で、「しかし、核兵器の本当の恐ろしさはまだ十分に世界に伝わってはいません。新型コロナウイルス感染症が自分の周囲で広がり始めるまで、私たちがその怖さに気づかなかったように、もし核兵器が使われてしまうまで、人類がその脅威に気づかなかったとしたら、取り返しのつかないことになってしまいます」と危機感をつのらせました。
そして、若い世代に向け、「新型コロナウイルス感染症、地球温暖化、核兵器の問題に共通するのは、地球に住む私たちみんなが“当事者”だということです。あなたが住む未来の地球に核兵器は必要ですか。核兵器のない世界へと続く道を共に切り開き、そして一緒に歩んでいきましょう」と核兵器の脅威も世界中の誰にも関係しうる共通の課題であると訴えました。
また、地球滅亡までの時間を示す「終末時計」が今年の1月に「残り100秒」となり、1947年の開始以降、最も「終末」に近づいたことを引用し、「被爆から75年、国連創設から75年という節目を迎えた今こそ、核兵器廃絶は、人類が自らに課した約束“国連総会決議第一号”であることを、私たちは思い出すべきです」と訴えました。
さらに世界各国の指導者に対し、「相互不信」の流れを壊し、対話による「信頼」の構築をめざすこと、「分断」ではなく「連帯」に向けた行動を選択するよう訴え、来年開かれる予定のNPT再検討会議で、核超大国である米ロの核兵器削減など、実効性のある核軍縮の道筋を示すことを求めました。
日本政府と国会議員に向けては、一日も早く核兵器禁止条約の署名・批准を実現するとともに、北東アジア非核兵器地帯の構築を検討するよう訴えました。そして「戦争をしない」という決意を込めた日本国憲法の平和の理念を永久に堅持するよう強調。さらに、今なお原爆の後障害に苦しむ被爆者のさらなる援護の充実とともに、未だ被爆者と認められていない被爆体験者に対する救済を求めました。