共同会派の新型コロナウイルス合同対策本部会議が8日国会内で開かれ、同日政府が閣議決定した、ワクチン確保に充てるとする新型コロナ対策としての6714億円の予備費支出などについて政府から説明を受けました。
冒頭、あいさつに立った逢坂誠二政務調査会長は、8月28日の政府新型コロナウイルス感染症対策本部でまとめられた対策の新パッケージで、検査に対する新たな考え方が示されたことに、「この間われわれは検査の体制について、早い時期から検査体制を拡充すべきだと繰り返し求め、3月には国会に議員立法を提出した。あれから半年が経っても検査体制の方針が定まらない。このことは、今の政府のコロナ対策の1つの象徴ではないか。いったい何をやっているんだという思いだ」と批判。「提案、提言すべきことは山積している。しっかりスクラムを組んで議論をしていきたい」と呼びかけました。
コロナのワクチンの購入を決める、開発を進めることは一般的には喜ばしいことだとした上で、「なぜ今の時期の予備費の支出なのか、今後の契約の日程はどうなるのか。あるいは新しいワクチンであり本当に効果があるのかないのか、効果がなかった場合の瑕疵担保責任、健康被害が出た場合の対応をどう考えているのかなど、論点はさまざまある。しっかり政府の考え方を聞きたい」と述べました。
政府からは、8月28日の対策本部で決定した「2021年前半までに全国民に提供できる数量を確保することを目指す」「全体として必要な数量について、供給契約の締結を順次進めることとする」との方針に沿って現時点で供給契約の締結に向けて協議が進められている、ファイザー社(米国)、アストラゼネカ社(英国)、モデルナ社(米国)の3社のワクチンについて、その確保に必要な費用を計上するものだと説明。各社の費用の内訳については、「各社が日本以外の各国とも交渉途上にあり、各社の競争上の地位を著しく害することになることから答えは差し控えたい」と述べました。
ワクチンの確保に係る交渉状況について、以下のとおり説明がありました。
○ファイザー社(米国)
新型コロナウイルスのワクチン開発に成功した場合、2021年6月末までに1億2000万回分(6000万人分)のワクチンの供給を受けることで基本同意(7月31日)
○アストラゼネカ社(英国)
新型コロナウイルスのワクチン開発に成功した場合、2021年初頭から1億2000万回分のワクチンの供給(そのうち3000万回分については来年の第一四半期中に供給)を受けることで基本同意(8月7日)
○モデルナ社(米国)
武田薬品工業による国内での販売・流通の下で、2021年上半期から4000万回以上の供給を前提として交渉を進めている旨を公表(8月28日)
質疑応答では、健康被害が生じたときの対応や、ワクチン接種が実施される場合には医療従事者や重症化しやすい高齢者などが優先されるのか、ワクチン開発に成功していない段階で莫大な予備費を支出しなければいけないのはどのような根拠に基づくのかといった声が上がりました。